セールスコミュニケーショントレーニングマニュアル「はじめの一歩」

第1章 コミュニケーション6つの法則

セールスにおける「コミュニケーション」とはなにか。

あなたは、あなたの商品やサービスを売りたい。
客は、必要なものは買うし、欲しいと思ったものは買う。

二人がめでたく出会えたら、売買は成立する、はず。

しかし、残念ながらそう単純ではない。
あなたと客の間には、いくつかの壁や溝がある。

乗り越え、埋めて、客の心をしっかりとつかむ必要がある。

つかむために必要なものは、
相手のことをよく理解する力、
あなたのことを伝える力、

すなわち、コミュニケーション力だ。

「はじめの一歩」ではコミュニケーションとは導きであると定義している。
成果、成功、未来へ導く力、それがセールスにおいてあなたが身に付けるべきコミュニケーション力だ。


難しいと感じるだろうか?

大丈夫。
複雑そうに見えるコミュニケーションを、
分解して、メカニズム化し、とてもわかりやすくとりまとめてくれた人がいる。

それが、このコミュニケーションスキルトレーニングマニュアル「はじめの一歩」の開発者、
株式会社アドバンスの前田晃氏だ。

前田氏の紹介は別のページでするとして、このマニュアルの紹介を進めよう。

結論から言えば、
このマニュアルを手にして、CDを毎日聞いて(少しでいいから)、月2回のフォローアップセミナーに(なるべく)参加すれば、タイトルが表現しているように、一歩一歩着実に、コミュニケーション力を身に付けていくことができるだろう。

現在全16章からなるが、現場から集まった成果を体系化し新しいレッスンが更に追加されていく進化するマニュアルになっている。


第1章は、「コミュニケーション6つの法則」

この章では、人の心の反応や想像力、思考習慣や行動習慣がどのように身に付いたかを6つの観点でまとめている。

はじめの一歩は、コミュニケーションのスキルやセールストークを考え練習するが、それは決して表面的なテクニックではなく、人としてのあり方やメンタル、価値観や心構えにも触れ、心の中から溢れたものこそが言葉や行動に表れることを基本に置いている。

成果は行動が作る。そして行動は心の反応が作る。心の反応は、その人が受けてきた教育、常識、経験、時代背景、情報によって作られたものだ。これらを分析し6つの法則としてまとめている。この切り口で相手を見ることで、相手の反応も予想がつくし納得もできる。そして大事なことは、それを知っておくことで、準備や対応がしやすいということだ。

行動の要因である心の反応を分析し、明日の確かな成果に繋げていくために、はじめの一歩をフル活用していただきたい。

では中身を見ていこう。

1の法則

なにごとも初めての経験が後々大きな影響を残す。
1の法則は、「はじめの一歩」を踏み出す為の法則、「一歩」の法則だ。

一歩さえ出れば、それがうまく行けば、あとは慣性の力が働いて楽になるものだ。
また、初めてのプレゼン、初めてのクロージング、初めての商談は特に心に重く刻まれる。この初めてがうまくいけばいいイメージが一生残る。逆にうまくいかなかったらトラウマとしてその後の行動に悪い影響を与えることになるだろう。

重要な初めての体験を人生の宝物にするための2つのポイント

1、「一歩目を大切に」
まずは、一歩目をうまく成果に導くためのより良い方法を意識することだ。それがこのマニュアルの目的でもある、ルール、パターン、ヒント、法則、ツボ、コツ、効率、仕組み等を意識する力「意識力」だ。
「意識力」とは、スイッチを入れること、受信すること、発見すること、気付くこと、探すこと、探ること、描くこと、読み取ること、洞察することだ。これらは発見力や仮説力等の想像力から生まれる。
だからセールスコミュニケーションでは特に想像力が重要だ。第5章に、「想像力トレーニング」が用意されている。これは特に活用してほしい。
これらのスキルは、あなたの成果や成長へ向けての一歩一歩を確かなものにし、ビジネスマンとしての成長をより確実なものにしてくれる。
「一歩目を大切に」は、あなた自身と見込み客の心に対する想像と洞察がポイントだ。
はじめの一歩の各レッスンで「意識」をメカニズム化しよう。

2、「一歩目だけを素早く」
これは、人の心の慣性、はずみに対してのアイディアだ。一歩目は重い。一歩目だけが重い。一歩目のアクションをどう起こすのかだけに集中して工夫してみることが大切だ。毎日一件目の電話をかける時の心の重さ。毎月一契約目が上がるまでの心の重さ。こんな経験ないだろうか。そう、一歩目だけが特別なのだ。原因が分かれば対処が可能だ。これをクリアするために、一日の、一ヶ月の、または初めてのアクションの中で心に重さがありそうなことを書き出し、どんな工夫や対処が可能か考えておくことが大切だ。

2の法則
これは、時代の繰り返しの法則だ。
時代は大きく分けて2つの繰り返し、安定と不安定、この2つ。これを交互に繰り返している。歴史を遡って見てみよう。

江戸時代は長い安定期〜明治維新は不安定〜大正ロマンから昭和初期の優雅な安定の時代〜第二次世界大戦で一気に不安定〜そして戦後の復興、高度経済成長、バブルに向けて一直線の超安定時代〜90年代バブルの崩壊と共に一気に不安定に突入し現在に至る。現在の経済界の不安定さは100年に一度、未曽有などと表現され未だ光が見えずの状態。

ここでは、時代背景によって色付けされた人々の心の状態、反応の傾向やパターンを想像してほしい。安定した豊かな時代、右肩上がりで可能性や期待感に満ち溢れていた時代には、人々の心は開いているだろうか? それとも閉じているだろうか?
安定の時代には様々な情報や、新商品に対する人々の興味の度合いや期待感はどうだろうか。それに対して、不安定で厳しい時代、危機感や閉塞感に包まれた現在の人々の心の開き具合はどうだろう?
それによってプレゼンや提案の仕方が変わってくるとは思わないだろうか。
そしてもう一つ、時代と教育の関係についても触れておこう。私たちの知識、思考パターン、常識、心構えの形成に最も影響を与えたものが教育だ。
私たちが受けた教育は、果たしてこれからの時代を生き抜くためにも役立つ内容だったのだろうか。
戦後の復興からバブルに向けて一直線の時代、日本は史上最大の経済上昇期、国も企業も成長と可能性に満ち溢れ、その中で求められた人材像は、知識量、記憶量が豊かな高学歴、しかも従順、素直で、反発しない人こそがイイ人。という図式が確立されました。いい高校、いい大学、いい企業に入るための教育は、「試験合格教育」とでも言うべき内容に偏り、正解が準備されたものに対する解答や対応は得意だが、機転とアドリブが必要とされる実際の現場では力を発揮出来ない若者を数多く作り出してしまった。
※教育そのものを否定しているのではないので誤解のないようお願いしたい。豊かな時代の教育で得たものも沢山あるが、人が本来持っていた大切な能力の中で奪われたものがあるということに気付いて欲しいだけである。
奪われた能力の一つは「想像力」。そしてもう一つは「反応」だ。
「はじめの一歩」が、想像力と感情表現、アドリブ力等を含めた反応作りのトレーニングを中心テーマにしているのはこの理由からなのだ。

2の法則の中のもう一つのポイントは、顧客心理だ。
安定した豊かな時代は、多くの人々の心は開いているだろうか?それとも閉じているだろうか?そう、開いている。それに対して不安定な時代には人々の心の状態はどうだろうか。
「○○さん、ちょっと面白い情報があるんだけど」
というアプローチに対して、心が開いている時と、心を閉ざしている時と、逆の反応が返って来そうだと想像できる。時代の変化によって変わってきたこと、物、教えを考えてみるとよいだろう。

3の法則
これは、マーケットの移り変わりの法則だ。マーケットは次の3つの状態を必ずこの順序で変化、推移して行きる。
@ 売り手主権 A 買い手主権 B 混迷 の3つのマーケットだ。
終戦直後全く物が無い。この時代は良い物さえ作れば消費者が勝手に行列を作ってくれる。
全く新しい商品、業種が誕生した時には現在でもこれと同じ状態が生まれる。
これが@売り手主権のマーケットの状態だ。
銀座にハンバーガーショップ第一号店が登場。新型スマートフォンがいよいよ発売される。町にコンビニが一軒しかない。 新型ハイブリッドカーが納車まで数ヶ月待ち。この様な時には我先にと消費者は行列を作り、売り手の対応、サービスの良し悪しにほとんど関係なく業績は上がる。

次にA買い手主権のマーケットだ。メーカーや販売店の数が増え、消費者や顧客にとって選択肢が増えると主導権は買い手側に移る。
同じ商品なら、性能の差、値段の差、品質の差で選択し、商品そのものでの差別化が困難になると、アフターサービスの差、売り方の差ということで、ついには売り手の愛想や好感度で差別化を図っていた。そしてその内容は、お辞儀の仕方、笑顔の作り方、発音の仕方にまで発展する。
この時代に生まれた「お客様は神様です。」という言葉に象徴される様に、過剰なまでのサービス合戦が繰り広げられる。買い手に気に入ってもらう、心地よく感じてもらう必要性が高まり、ビジネスマナーや接客接遇のトレーニングが生まれたのはこの時代だ。

そしてB混迷のマーケットだ。混迷、不明瞭、不確実なマーケットは、売る側も何がヒットするのか?どんな売り方が効果的か?生産、販売をいつまで続けるべきか?いつも迷っている。売り手が迷うと消費者やマーケットはもっと混乱する。
今買うべきなのか?しばらく様子を伺うべきか?このメーカーの物がいいのか?他社製品の方が良いのか?もっと良い製品が出るのでは? ・・・検討し出すとキリがなく結局ズルズルと購入時期を延期してしまい、ついにはホントに必要なのか?と購入意欲さえも失ってしまうことになりかねない。

これらの3つのマーケットにはそれに合わせた売り方がある。もちろん企業もそれに合わせた教育を行ってきた。行ってきたつもりだった。しかし未だ現在のマーケットに機能する教育や対応が遅れているのが現状だ。

はじめの一歩はここに着目し独自の教育、トレーニングを提案している。
混迷のマーケットだからこそ、消費者は安心感や確かさで導いてほしいのだ。 売り手側が業界の専門家として、堂々と提案し導いてくれる姿に消費者は安心感を覚える。この安心感がキーワードなのだ。「間違いなくこの商品!」「間違いなくこのお店!」が存在しない混迷のマーケットでは「この商品かも?」「買うならここかな?」と感じてもらうことがポイントだ。安心、絶対ということではなく「安心感」なのだ。そのためのあり方とやり方をトレーニングして行こう。
これらは第4章のエネルギートレーニングによって身に付けることができる。
業界の専門家としてのエネルギーや感情表現を身に付け、これまでのセールスマンのイメージとしてありがちな、愛想笑い、ご機嫌取りを手放すべきだ。なぜなら、顧客や見込客の人生や利益のために本気、本音で語る情熱的な感情表現や心の温度が大切だからだ。エネルギートレーニングは、あなたを業界の専門家として確かな存在に変身させる。

4の法則
世の中の人々の中で、次の4つ の層があるということにお気付きだろうか。
3% の超一流スーパースター
10% のまあまあイケてる
60% の平均、平凡、一般人
27% の不平不満、脱落組
この層は、業界、会社、コミュニティ・・・どの集合体でもこの通りに分けられる。
プロ野球でも3%の選手はオールスターゲームに選出され、10%の選手はレギュラー枠を何とか確保。60%の選手は1軍2軍を行ったり来たり。27%の選手はシーズンオフに戦力外通告。
飲食店も美容室もビジネスマンも全く同じ結果が生まれる。
消費者やマーケット、見込み客もこの法則に当てはめてみよう。
3%の見込み客と、大多数を占める60%の見込み客を対比してみると。

3%の人とはどんな人だろうか?
・超一流・強い・優しい・価値観がしっかり・判断基準が明確・リーダーシップ・想像力豊か・1を聞いて10を知る・高収入・興味・好奇心・人脈豊か・人望がある・期待感・本音で勝負・中身で勝負・常に健全な問題意識がある・・・など。
60%の人は?
・ごく普通・弱い・強がる・あっちにフラフラこっちにフラフラ・皆がやるなら・想像力が乏しい・1から10まで全部教えて・警戒・恐怖心・危機感・不安・群れる・着飾る・・など。
なんとなく、基本のエネルギーや習慣、反応の違いに気付かないだろうか。
3% の人の基本のエネルギーは興味、好奇心、期待感。
60% の人の基本のエネルギーは恐怖、不安、危機感。
ということは、それぞれに反応の仕方が違う。そう、私たちは見込み客がどの層なのかを想像、洞察して、その人に合うやり方で提案することが必要なのだ。
「○○さん、ちょっと面白い情報があるんだけど」と、同じトークでアプローチしても、3%の人と、60%の人では反応が全く逆だ。相手に合わせてトークやプレゼンの組み立てを変えよう。そのためには相手を読み解く想像力があなた自身に求められる。
その他に、3%、60%でどんな反応の差があるか考えてみよう。

5の法則
これは、多くの書籍や研修などで取り上げられる「マズローの5段階の欲求法則 」だ。アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間の行動心理には次の5つ の段階があると説いている。この世に存在する商品、サービスは全て「人」の欲求を満たすために作られたもの。人の欲求の段階を知ることは、商品、サービスの存在意義そのものを知ることにつながる。

@生理的欲求
人が生きるために満たそうとする欲求だ。睡眠欲、食欲、性欲などがこれに当てはまる。緊急性の度合いが高い欲求だ。命の危険がある程の緊急時には、食べ物でも好き嫌いや、賞味期限など気にしないだろう。

A安全欲求
生命の存続そのものが保障され満たされると安全や安定の欲求が芽生える。飲み食いするなら腹を壊さないもの。居場所も雨風しのげる所を求める。

B社会的欲求
個人の生命、安全が保証されると、社会や組織に属する = 存在を認知してもらおうとする欲求が表れる。 皆と同じ、それ以上のレベルまで登りたいという欲求だ。周囲の視線を気にするのはここからだ。

C自我の欲求
これは、個性の欲求ともいえる。皆と同じレベルが手に入ったら、差を付けたい、尊敬されたい、賞賛されたい、優越感に満たされたいという欲求が働きる。

D自己実現の欲求
最後は、自己実現の欲求。独創性、独自性を発揮してオンリーワンの存在として高みに登って行く段階だ。また、このレベルの人はほとんどの場合、自己が求めるものを全て手にし、他人への貢献欲求が純粋に芽生えて来る。

以上の5段階の欲求を知った上で、もしあなたが自動車のセールスマンだとしたら次の5種類の自動車をそれぞれどんな理由で提案するだろうか?

1.中古の軽トラック
2.新型のベンツ
3.真っ赤なフェラーリ
4.福祉車両や送迎用のバス
5.カローラ

あなたの商品、サービスは、人々のどの欲求に響く商品なのかを日ごろからイメージしてみることをお勧めしたい。

6の法則
最後の法則は、「心の変化6段階」だ。新しい人、新しい情報、新しい提案に対して、初めから心がフルオープン!ということは稀だ。心が変化していく段階と流れを前もって予測しよう。
@拒否
初めて会った人、情報等にはこの反応だ。例えば街を歩いていて、ナンパ目的で知らない人から声をかけられた時に「待ってました〜!」と満面の笑顔で振り返る人はまずいない。「やめてください!」と反応するのがほとんどうだろう。これが拒否だ。

A警戒
これは、不安や疑いから出る反応で、まだ心の距離が遠い状態だ。ビジネスの現場では、「え〜、ほんとに大丈夫?」「何か買わされるんでしょう?」「ほんとに役立つの〜?」等の反応が現れる。

B一部受け入れる
まだYesではないが、Noのエネルギーが弱まった状態。
ビジネスでは「お話聞くだけなら・・・」とか、恋愛の場面でも、「お茶だけなら・・・」という感じだ。限定的でも導きに同化してくれた、きっかけの段階だ。

C完全に受け入れる
きっかけをうまく掴み、無理の無い提案ができれば、「なるほど〜!」「十分理解できたよ」と、ほとんど見込み客の心はクリアになってくる。心を開いていく様子が見て取れる。

D一部同化する
ここから、見込み客側にアクションが起き始める段階だ。
「じゃあ、この商品から使ってみようかな・・・」「なるほど、一度試してみてもいいかも」と導きに応じてくれ、契約や行動に繋がる。

E 完全に同化する
この段階に来ると、見込み客も私たち売り手側と同じ目線や確信を持ち始める。
「この商品、○○さんにも教えてあげようかな」「こんなに良い商品って他には無いよね」最初は拒否していたのにもかかわらず、面白い反応である。

この6つの段階は1度の接触、面接で@ 〜 Eまで進行することもありうるし、逆に1つの段階をクリアするために数回の面接を必要とすることもある。
見込み客にとって、あなた自身との関係がどの段階か?あなたが提案する情報に対しては?あなたの商品、サービスに対しては?あなたが紹介した上司や同僚に対しては?それぞれの項目や要因に対して、この6つの段階の反応が現れてきる。
見込み客の表面に表れる言葉、表情、態度だけに注意するのではなく「心の声」「心の表情」「心の信号」を察知しよう。見込み客との距離感、空気感、温度感だ。そして最悪なのは、見込み客の心の声をキャッチできず、または無視して、良かれと思って次の段階へ無理矢理進むことだ。どうなるか?・・・「拒絶」だ。二度と会ってくれない、電話も着信拒否、周りに毒を吐く、なんてことになり兼ねない。
見込み客の心の声、信号に十分な心づかい、気配り、配慮をしよう。

「コミュニケーション6つの法則 」いかがだろうか?

これらの6つの法則は、それぞれが複雑に絡み合って見込み客やマーケットの反応となって表れて来る。しかし安心して欲しい。絡んだ糸をほぐしてみると、この6つ以外には無さそうだ。この法則を頭と心の隅に置いて毎日の活動とトレーニングに励んでみよう。勉強は知識を作り、トレーニングは行動を生む。言い換えれば、勉強は「わかる」を作り、トレーニングは「できる」を作るのだ。

「はじめの一歩」は、出来るビジネスマンへの招待状、大切なあなたをいつも応援してくれる。


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