<第7章>実践編・想像力トレーニング
2018/01/08
人生においても最も大切な能力
お客さまが欲しいのは商品・サービスそのものではなく、それによって得られる未来、自分にとっての価値です。
お客さまが知りたいのは、商品・サービスの仕様や特長ではなく、自分がイメージしやすい感覚的な使用感です。
相手が何を欲しているか。どう伝えれば興味を持ってもらえるのか。この商品はどう役に立つのか。 セールスにおいて、あるいは人間関係作りやコミュニケーションにおいても、最も大切な能力は想像力です。
同じ資料やパンフレットを使い、同じ商品を販売しているのに、実績に差が生まれるのはなぜでしょうか?
この差こそ、想像力の差です。
同じ環境で働いているのに、気が利く人と利かない人がいるのはなぜでしょう?
これも、想像力の差です。
さまざまな営業研修、営業セミナーでも想像力は大事だと教えています。しかし、どうすれば想像力が身につくのか、あまり具体的にされていないように思います。
営業マニュアル「はじめの一歩」では想像力を最も重要なテーマの一つととらえ、細かく分解、メカニズム化しました。4つの想像力と2つの応用力に整理して、トレーニングします。
想像力を分解、メカニズム化。
4つの想像力
1.人に対する想像力
何回会って話をすれば相手を知ることができますか?たとえ100回面談したとしても、その人の全てがわかるわけではありません。だとしたら、年齢、役職、立場、経歴、趣味、家族構成、持ち物、行動や表情、発信など、知り得た手がかりから想像するしかありません。人に対する想像力は、心の動きに対する予測と洞察、そして仮説力です。その人の「思い」をキャッチしましょう。
2.時に対する想像力
1年は同じ1ヶ月が12回繰り返されるわけではありません。1月には1月の、2月には2月の特徴や傾向があります。1月といえば正月、正月といえば帰省、帰省といえば同窓会…。そしてそれらの受けとめ方は年代によって異なり、想像力の発揮しどころは多岐に渡ります。これらの想像ができるかどうか、ビジネスのチャンスを想像できるかどうか、とても重要なポイントです。
3.物に対する想像力
人々が商品やサービスを購入する理由は、問題を解決するためか、欲求を満たすための2つです。物に対する想像力とは、その物本来の用途以上に、その人にとっての価値を高める事です。自分が扱っている商品・サービスはどういう商品なのか。どんな想いがこもっているのか。誰の役に立つのか。それはなぜか。仕様や特徴ではなく、あなたにとってどう役に立つのかを想像しましょう。
4.事に対する想像力
さまざまな行事やイベント、会議、展示会、宴会、パーティー、全ての事にも、何気なく参加するのではなく、または運営するのではなく、想像力を働かせることが大切です。全ての事には意図があり、参加者にも目的があります。それらを汲み取る事ができるかできないかで結果や満足度に差が出ます。また主催者や運営者に対して感謝の気持ちを持てる人間性も想像力なのかもしれません。
2つの応用力
世の中のビジネスのほとんどは、無形の利益を売っています。あなたが扱っているものが有形の商品だとしても、本当に提供したいものは、それを使用することによって生まれる利益であるはず。だからこそ、その目に見えない利益をいかに見込み客に描かせるかかがポイントです。描かせるためには動画やシーンで語ること。動画やシーンで語るには台詞で語る、フレーズで語ること。「はじめの一歩」では、この描かせる力もトレーニングします。
もう一つは、相手が理解しやすい表現やイメージに加工する力のトレーニングです。
「日本の就業者の中で販売に携わる人は854万人です。」
「当社の洗濯機は作動音40デシベル。業界一静かです。」
ピンときますか? 極端な例かもしれませんが、実際の現場でも似たようなことがおきています。
「日本の就業者の7人に 1 人が販売従事者です。」
「当社の洗濯機の作動音は、図書館と同じレベルの静けさです。」
大きな数値を身近な数値に変換したり、イメージしやすい例に置き換えると、数値を感覚的に捉えることができます。
五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)ごとに表現のボキャブラリーを増やしたり、データや数値、得た感覚を、描きやすいものに置き換えるトレーニングも取り入れています。
PICK UP! プロはトレーニングをする。続ける。
このようなことは、現場で経験を積めば習得できるものではありません。
本番とは別に時間を確保して、習ったり、じっくり考えてみなければ現場で思いつくことはありません。
そして営業研修や営業セミナーで一度習ったからといって身につくことはありません。
トレーニングを繰り返すこと。自分の能力にするにはそれしかありません。
しかも、一度身につけたら終わりではなく、継続して練習することが大切なのです。
スポーツ選手でも音楽家でも、プロはトレーニングを欠かしません。技術を習得してもなお練習を続けます。
わたしたちも営業や販売、接客のプロであるならば、トレーニングをするべきです。